栃木県高校駅伝で那須拓陽高校が失格になった件ついて

2016年11月3日、男子第67回全国高等学校駅伝競走大会栃木県予選会。
1位でゴールした那須拓陽高校が、1区の走路違反でレース後に失格となった。
この失格扱いについてはいくつかの疑問が残るので考察してみる。
※ 11月5日訂正・加筆

失格の理由は走路違反
一部インターフェア(故意の妨害行為)との情報もあったが、現地にいた方のツイートからセンターライン越えショートカットで走行距離が短くなったことが理由であることがわかる。
追って栃木陸協からリリースされたリザルトにも「走路違反」と明記された。
ただ「交差点」でというのは正しいのだろうか?男子1区のコースをグーグルマップで確認してみた。

右折箇所は一か所しかない
左折の場合、反対車線に出れば遠回りとなる。従って、走路違反が起こり得るのは右折、もしくは右カーブに限定される。
栃木県高校駅伝のコースは基本左廻りで設定されている。実際に地図で確認したところ1区走路に右折交差点は存在しない。

公道では唯一、競技場に西から北西へ隣接して通る道路に右カーブが確認できた。
競技場、及び競技場と公道の接続路で走路が交錯しないためには、複数の右回りカーブもしくは折り返しの存在が想定できるが。

違反場所は、競技場敷地内の接続路であったとの情報もあったが、下野新聞が違反場所を「緩やかな右カーブ」と報道していることから「競技場に西から北西へ隣接して通る道路」ではないかと思われる。

競技の状況
この右カーブで「走路違反」したとすれば1区終盤9kmあたりの地点であろうか。レース後、一旦リリースされた区間記録は1位通過の佐野日大が30:15、那須拓陽が30:18、3秒差である。
同走していたか、どちらかが仕掛けて僅かに差が付いていたか、どちらにしろ双方懸命の走りであっただろう。

違反行為の状況
道路は片側1車線の細い道路である。広い道路であれば反対車線をはっきりと認識できるであろうが、9km地点で懸命の走りをして判断能力が低下し視野も狭くなっている中、反対車線だという認識はできただろうか。

毎日新聞は違反内容を以下のように報じている。
「2区への中継点直前の右カーブで、左車線から右車線へとコースを3、4メートル逸脱した。」

失格にしたのであれば、当然その時点で監察が警告をしていることと思われたが、どうやら警告などはしておらずこの時点では違反行為確認をしたのみであったようだ。

コース設営に問題はなかったのか
ロードの場合、コースと歩道の境目が曖昧であるなど「そこ走っていいのか?」と思わせるような場所が構内道路などで良くある。

この細い道路で失格判定を行うのであれば、明確にセンターラインを意識させる様、カラーコーンを設置し誘導すべきだったのではないだろうか?

陸協もしくは高体連のコース設営についての責任は問われないのだろうか。多くの競技者がショートカットしていそうな場所である。
那須拓陽の監督も失格判定後に「センターラインを越えることが予測されるのであれば手厚く走路員を置くなどしてほしい」と要望している。

実際のところ違反のあった場所の状況はひどかったようだ。

「数日前、当日とあまりの汚さにゴミ拾いさせていただきました。違反コースも白線は雑草で見えたり見えなかったり剥がれていたり。コーンも無かったんです。後ろから観察車がついているので仕方ないのでしょうか?競技前に説明があれば本人も気を付けるはず。」

とのコメントが私のもとに届いている。

失格判定は極めて主観的判断
速報ではあるが、一旦は那須拓陽の記録を公認しておきながら、その後失格扱い。レース後に協議でもしたのであろうか。

監察は警告していない。違反距離が4メートルとされているので時間にすればほんの一瞬であろう。

トラックのT3とは違い得はしているが、失格にする程の重大な違反行為であったのであれば判断は即座にできたはずである。レース後に判断するような程度の違反行為であればそれを失格事由になどできない。
那須拓陽と佐野日大のトップ争いで佐野日大がショートカットしなかったため、印象に強く残ったのであろうか。「警告もなく」、レース後唐突に失格になった。

極めて主観的で不条理な判定と言わざるを得ない。

県高体連陸上専門部藤田明人委員長のコメント
毎日新聞記事から
「非常に残念。ルールにのっとり、きちんと競技に臨んでもらいたいという気持ちから、苦渋の決断をした」

下野新聞記事から
「選手も一生懸命やっている。わざとではない」と違反を犯した選手をかばいつつ「これを認めてしまうと、今後のレースにどう影響を与えるか分からない」と苦渋の決断を下した理由を説明した。

自己を正当化しようとする立場から正論を語っているという、まさに綺麗事にしか聞こえないのだが。

意図的でない「走路違反」は主催者・運営者の責任
以前、女子実業団の駅伝だったと思うが、外国人競技者が交差点で反対車線に入りしばらく戻らなかった映像を観たが、後ろにいた監察は警告もせず失格にもならなかった。
この競技者は知識がなかったのではないかと思われるが、それでも違反は違反である。

また、栃木県高校駅伝と同日に行われた九州実業団毎日駅伝では、3区終盤の折り返し、先頭MHPSを追う旭化成の村山謙太が大きく遠回りをしていた。
前の自動車に付いていってしまったのだろう。これは競技者は損をしている場合だが、新コースということもあるのだろうが、コース設営・誘導が悪かったとも言えなくもない。

このようにロードではトラックと違い走路誤認はよくある。
監察が確認したショートカットを総て「走路違反」とするのであればそれでも良いが、であれば...

コース設営・誘導に落ち度は許されない。

主催者・運営者は心して競技準備に臨まなければならない。

自らが責任を持って行うべきコース設営をおざなりししておきながら、そのいい加減さによって発生した競技者の違反行為を罰することが許されるのだろうか?

どうにも納得がいかず不可解で疑問が残る判定である。
通常、違反行為が確認されれば、その場で失格と判断されチーム関係者に通知され、リザルトにもそれが反映される。
しかし今回の場合は、1区での違反確認であるにも関わらずレース終了後まで判断を保留し、那須拓陽の優勝を確認してから失格判定を下している。優勝しなかったらそのまま順位確定し、失格にしなかったかのように。

敢えて言えば、「レース前から失格が決まっていた」としたらすべては腑に落ちるのだが、まさかそんな事はないと信じたい。

失意を超え、前に向かえ那須拓陽
未だ失意の中にいるであろう那須拓陽の競技者たち。彼らの希望を繋ごうとするツイートが僅かではあるが救いとなる。

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