五輪汚職の本質は電通による贈収賄・独占禁止法違反

2020東京五輪招致活動の実態

五輪汚職の主体としての電通

東京五輪・パラリンピックのテスト大会事業を巡る入札談合疑惑は東京地検特捜部と公正取引委員会が25日午前、独占禁止法違反容疑で電通など2社の捜索に乗り出し刑事事件へと発展した。

海外では早くから2020東京オリンピックと世界陸上の招致活動に関する汚職が報じられ、日本においてもその報道はなされてはいたが電通の名前が出ることはなかった。

しかし、捜査対象となったアスレティックス・マネジメント・アンド・サービシズ(AMS)と電通に資本関係はないが、電通役員が「AMSは電通だ」と発言したと伝えられている通り、AMSと電通は一体であった。

AMSを通して国際陸連を思うがままに動かす事ができた電通が、2020東京オリンピック汚職の主体であるのではないかと思われる。

日本の報道でも電通が当事者に

刑事事件となることで、日本でも報道において電通の名前が出るようになったが、あくまで電通を退職している高橋治之被告と、それ以外のスポンサー企業・受注企業という構図の中でであった。

組織委員会元次長森泰夫容疑者と電通が受注調整を主導したとみられる独占禁止法違反の疑いで捜査が行われているという段階において、やっと電通の名が犯罪の主体として報じられる様になった。

高橋治之被告と電通は一体なのか

大会組織委員会元理事の高橋治之被告は元電通専務であるが、一連の五輪汚職の時点では電通の社員ではなかった。

しかしそれはあたかも詐欺師が、捕まった時に配偶者にまで民事上の責任が及ばぬ様に、夫婦関係は続いているにも関わらず戸籍上は離婚している、そんな事実婚のような状態に見えなくもない。

AMSと電通が一体であるように、「電通と高橋治之被告は一体である」かに見える。

談合ではない

AMSを通して2020東京オリンピックを金で買い、スポンンサー企業から総額2億円もの賄賂を受け取り、2020東京オリンピックすべての競技運営を思うがままにする事が可能であったかに見える高橋治之被告と電通。

この五輪汚職の中で談合とされている件については、電通がそのおこぼれを他の広告代理店やイベント会社に分け与えたのであって、決して談合などではないように思われる。

実際、受注した企業間で入札価格調整や応札企業の調整が行われたような報道はされていない。むしろ受注予定ではない企業が応札したケースでは応札を取りやめるように電通側が動いたことが報じられてる。

2020東京五輪汚職の影響と今後

スポーツイベントを金まみれで汚した罪

現代の政商、政財界と深く関わりを持つ電通が主体であるかに見える2020東京オリンピック汚職事件。すべてが明るみに出ることはないだろうと思われる。

政界にまで捜査が及べば、まさに「東京オリンピック電通疑獄」となる訳であるが、そこまでは踏み込むことはないだろう。

ただ捜査中であるから犯罪としては未確定ではあるが、道義的観点から言えば「スポーツイベントを金まみれで汚した」その罪は大きい。

札幌オリンピック招致はもちろん、スポーツイベント世界大会の招致は、業界が完全に浄化されるまで行うべきではないと考える。そうとすれば、もう日本でのスポーツイベント世界大会の開催は不可能になるとしても。

それだけ世界のスポーツ競技団体に与えた影響は大きい事を認識すべきである。

関係企業・東京都・国の責任

なお、電通以外のスポンサー企業や大会運営受注企業も責任は当然問われるべきなのは言うまでもない。本大会の受注が確実な中で、経費水増しによって得た不当な利益は返還すべきである。

また、東京都や国も知らなかったとの言い逃れでは済まされない。確定的にではなくとも当然知ってはいたであろうと思われる。

2025世界陸上東京開催は返上すべき

五輪疑惑捜査真っ只中の中、日本陸連関係者が容疑者となり、東京都の五輪開催において機能しなかったガバナンス能力が問われる中、どのツラ下げて世界陸上を東京で開催するのだろうか。

設立準備会において、都が策定した国際大会運営のガイドラインに沿って行うとされているが、東京五輪ではそれに準ずるものはなかったのだろうか。

大会組織委員会の理事の選定プロセスや職務権限が曖昧だったことが背景にあると問題視されている点について、それが是正されるようにガイドラインは作成されているのだろうが、あればできるのだろうか。

国際大会運営ガイドラインなどというものがなくとも、ガバナンスが機能していれば、少なくとも運営受注企業の水増し請求くらいは見抜けたのではないだろうか。要は何もしてなかったと思われる。組織内にいただけなのだろう。よってガイドラインがあっても同じ結果になるのではないかと思われる。

そもそも大会運営はセレスポが行うのだろうか。2025年までに罪状が確定し罰せられた後でであれば問題はないが、捜査は長引きそうである。

また、そもそも国立競技場にはサブトラックがない。

五輪疑獄「電通多すぎる」指摘受け不正な受注調整
2023年2月報道。東京地検特捜部は、組織委員会元次長森泰夫容疑者と広告最大手「電通」側が受注調整を主導したとみて独占禁止法違反の疑いで捜査。
フランス検察、電通のパートナー企業を捜査
2019年8月の報道。東京五輪含め「スポーツビジネスの汚職」で、国際陸連と電通パートナー会社AMSを捜査している。
2016年、仏検察が2020年東京五輪招致で「2億2000万円支払い」を捜査
2016年5月の報道。フランス検察は2020年に予定される東京オリンピックの開催をめぐり、招致委員会側が国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長の息子に約2億2000万円を支払ったとされる疑惑を捜査していると発表した。
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